オーシャンスイム、キューバ〜フロリダ横断160キロに挑んだのは64歳の女性ダイアナ・ナイアド
サメよけなしで足掛け35年、5回目の挑戦で前人未到のチャレンジに挑んだ秘密にせまります
マンハッタン一周
ダイアナ・ナイアドは26歳の時にニューヨークのマンハッタン島を一周、約45キロを7時間57分の最短記録で泳ぎ切った
この成功で翌日のニューヨークタイムズ紙の一面をかざり『時の人』となり、ニューヨーカーの誰もが知る存在となった
マスコミの関心を引きテレビ出演を多数するなど、その後の人生が大きく変わってゆく出来事となった
一意専心の日々を生きたい
60歳を過ぎて人生の棚卸しを始めた
人間関係の面では自分に高評価をあたえた
ある日車を運転していると、メアリー・オリヴァーの修辞的で類まれな問いで頭がいっぱいになった
「このかけがえのない未踏の人生で、あなたは何をしようと思う?」
この言葉が胸に刺さり、車を止めずにはいられなかった
一意専心の日々を生きたい……切に、狂おしく願っていた
キューバ〜フロリダ横断、単なるスポーツを超えた壮大な挑戦
15時間の練習は回を重ねるごとに悲惨の度合いが下がっていく
2009年8月キューバ〜フロリダ横断を決心してから、横断挑戦へのトレーニングはまず30年間泳いでいなかった体をプールで20分間泳ぐことで慣らし始めた
1ヶ月後には2時間、それから時間をかけて4時間、5時間泳ぐようになる
4ヶ月のプールの練習を経て、メキシコの沖合の島々をめぐり海での泳ぎを楽しんだ
その後は実戦的に漁師をつけての練習をスタートさせ、少しづつ距離を伸ばしていった
キューバ〜フロリダ間165キロを60時間かかるとすると、15時間の長距離泳を4回連続でこなすことになる
練習の狙いは15時間の長距離泳を容易に乗り切れることだった
15時間も連続で泳ぐことはマラソン・スイミングのスイマーでも一生やらない人がほとんどなのだ
15時間の練習は苦痛を伴い楽ではないが、回を重ねるごとに悲惨の度合いが下がっていった
『何があろうとあきらめないで』
2013年9月2日、ダイアナ・ナイアドがハバナからキーウェストまで110.86マイル(約160キロ)を連続して泳いだのち、マザーズ・ビーチの当地点に上陸、サメよけのゲージなしでの完泳という偉業を初めて達成した
この計画に初めて望んだのは1978年であり、5回目の挑戦での成功(52時間54分)であった
この地の数々の人々が、そして世界のあまたの人々が、人生を賭けた夢の実現について、64歳のダイアナが最初に口にした言葉に感銘を受けた
『何があろうとあきらめないで』
[参考文献]
ダイアナ・ナイアド (訳)菅しおり「対岸へ。オーシャンスイム史上最大の挑戦」三賢社
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