甲野善紀(よしのり) 古武術からのアスリートイノベーション

Innovation

甲野善紀は古武術から身体の操り方を研究し、通常では考えられない体を速く動かす術を修得した
その動きを元読売ジャイアンツの桑田真澄投手が応用してピッチングフォームに取り入れに成功している
その後バスケットボール他の競技にも取り入れられ、多くの成果を残している

動きを伝える動作ではなく省略した動き

元読売ジャイアンツの桑田真澄選手の牽制球の投げ方を観察し、武術的な観点から重心の処理の手続きに時間がかかりすぎると判断する

武術では動きをできるだけ省略したい考えなのだ

「ひねらず、うねらず、タメない」

時系列的に身体をを使うやり方ではなく、同時にいくつもの動作を行う

通常の現代スポーツで行われるスポーツのフォームは、ドミノ倒しのように動きを伝える

一般的な身体の使い方は相手にはタイミングが合わせやすいのである

 

 

人間にスランプはない

スランプというのは絶頂期を意識するから、それに対して自分がその域に達していないと感じるためにスランプと感じる

絶頂期を意識せず、考えなければスランプはないわけである

自分にはまだまだはるか上があると思わなければダメで、自分が良かったと思ったとき、もしか結果が出たときであれば、それはたまたま運が良かったのであって、まだまだ良い、上の動きができると考えるべきなのである

 

新車ではモデルチェンジが繰り返される

新しいことを探求しないで、既存の理論を教えている指導者は車にたとえたら中古車で、まだまだ新しい良いものを取り入れて行くのは新車で、バージョンアップを重ね続ける

中古車はある面は馴染みがあるかもしれないが、それ以上のものは期待できない

新型車は既存の考え方に飽き足らずモデルチェンジが繰り返し行われ、開発が重ねられ続けるのである

 

研究者・求道者はプロセスが知りたい

革新的な技を発表され、またその機能、効能は大事になるのだが、どうしてそこに着目し、それを開発していったのかという経過、過程があとから続く人には大事なのである

研究者、求道者であればある技術を生み出すきっかけ、原因が知りたく、またどのように生み出されて行くのかのプロセスが知りたいもの

どのルートそこに登っていったのか、その地図が何より貴重なのだ

 

 

未熟なのだからゴールはまだまだ先にある

プロ野球で首位打者と言えども4割には届かない

またピッチャーの防御率にしても最高防御率2.22がナンバーワンであれば、逆に言えばそれだけまだ打たれていることになる

打者の打率も同じでまだまだ3割台と考えられるわけである

まだまだ謙虚に考え、未熟なのだと捉えることが大事なのである

野球でのゴールはまだまだ先にあると考えられるべきなのだ

 

倒れようとする重力のエネルギー

普通に人が動く際はみな足で蹴って動くのである

ところが蹴っている間はその場に居付いて、拘束されてしまう

身体の支えをはずすようにして、いきなり身体が倒れるようにすれば、もちろん倒れてはダメだが、倒れようとする重力のエネルギーが使える

この動きがはバスケットの神的存在のマイケル・ジョーダンの動きの説明になるのではないかと考えた

普通の人がジョーダンの動きを真似ると体を壊してしまうと言われている

 

身体と精神は密接

整体の大家が、なかなかこわばりを緩ませることのできなかった女の子が、突然すごく柔らかくなった

どうしたのかと思ったら、結婚したいという男性が現れたということだった

それはもうどんな操法にも及ばない

体の中からの喜びだからだ

愛する愛されるという人間として根源的なことに対して自分の感覚が開けば、それに伴って身体も大きく変化する

身体と精神は密接なのだ

 

 

 

[参考文献]
甲野善紀「古武術に学ぶ身体操法」岩波アクティブ新書

 

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