高橋尚子 シドニー五輪女子マラソン金メダリストからの学び5選

天才学

2000年シドニー五輪の女子マラソンで優勝し、女性で初めての陸上競技の金メダリストになる
同年10月国民栄誉賞を授与される
高橋尚子はたぐいまれな努力家であり、周りの皆からも愛される人格者でもある

夢 頑張ればきっとできる

「なにも咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」
高校の恩師中澤先生の言葉。

 

大学1年の時テレビで陸上競技を見て「いくら頑張っても彼女たちのように晴れがましい舞台には立てないだろうな」と寂しくなると同時に疑問がわいた
「私は何を目標に走っているのだろうか?」自問自答
そして気がついた
「とにかく、いまの自分にできる範囲で精一杯頑張ってみよう
自分のベスト記録を破ることを目標に頑張ろう」
そう思った時にはすぐに表に走りに出ていた
翌年にはそのテレビで見ていた大会に出て、舞台に立っていた
「ひとつづつ着実にやっていけば、どんな高い壁でも乗り越えられる」
そう確信することができた瞬間であった

 

走ることが好き、走ることに飢えていた

それで実業団に走る機会を求め進んだ
小出監督のリクルートに行くと決め、10社以上の誘いを断り、背水の陣でのぞんだ

初めて小出監督に会ったときに、リクルートは大学生は採らないと告げられた
がしかし、高橋は転んでもタダでは起きない
転んだら何かひとつはもぎ取っていきたいと考え
「自費でもいいから、合宿に参加させてください」とお願いした
それで監督からの許可がもらえた逸話がある
最後まであきらめず、熱意を持って望めば通じる

 

『ダメでももう一回、一生懸命に頑張ればきっといいことが待っているよ』って
どうしてもみんなに伝えたかったんです
私は声を大にして言いたいのだが、本当にやろう、やりたいと思ったら、
必ず夢はかなえられるものなのだ

努力の天才

ハードなトレーニングの中に楽しみを見つける精神的タフさ

全日本大学駅伝の終わった日にサヨナラパーティーが行われ、そのまま深夜まで学生皆が夜更かししたにも関わらず、早朝皆が寝ている中、高橋はすでに次の目標をたて未来へ走り始めていた

「ハチ子」大学の終了の8時までトレーニングをしていたためのアダ名

高校2年生の時に初めて出た都道府県対抗女子駅伝で、47県中45番の成績だった
だから人の倍やって人並み、人の3倍やって人並み以上だと今でも思っている

小出監督の『お前は世界一になれる』という呪文のようなささやきに応えるかのように、人の何倍も練習に励んで、強い選手になることを夢見ていた

1年365日「お前は世界一になれるよ」と言われ続けていると、その気になってくるものである

どんなに厳しい練習でも嫌な顔をせずに自分の体に鞭打つ「人形になる」という決心が高橋にはあった

高橋選手はいつも全力を出しきりたいと考えている
たとえ結果が良くても余力を残したままゴールしてしまうことを極端に嫌う

「今日一日、目標に向かって頑張れる何かがあるかどうか。
その一歩一歩を積み重ねていけば、その先にはきっと夢があるはずだ」

高橋尚子は人格者

自分に対して極めて厳しい非凡な生き方

「確かに、あの子はいったん言い出してやり始めたら最後まで絶対に投げ出すことなく、貫き通します
そういうところがあの子にはありました。」と母親は断言した。

「中学時代の宝物は、私の友人たちである」と公言するくらいに、人を大事にする。

天狗にはならず他人を尊重する、ひたむきさに周りのみんなが高橋を手伝う

入学前に年賀状を送る礼儀正しさ、生真面目さ、日記はこまかく記録する

律儀に顧問の監督に大会の結果報告を怠らなかった

周りの関係者、大学の監督などにも可愛がられれいた

命懸けのトレーニング

アメリカ、コロラド州ボルダーでの高地トレーニング
標高2,800mから3,500mのウインターパーク。
終始酸欠状態で小石が転がるデコボコ道、24キロの上りを駆け上がる。
「これは苦しい練習というよりも、拷問に近いかもしれないない
それでも高橋は強くなりたいって、駆け上がるんだ
あの必死な表情は親にも見せられないよ」

「懸命にハァハァとと息をしているのに、まったく酸素が入ってこないんです。
身体の中から悲鳴が聞こえてくるんじゃないかと。
体が酸素を要求しているのがわかります。
それにものすごい強い力で前とうしろから胸を締めつけられているような感じで、痛くなったこともありました。

2人は命懸けのトレーニングに賭けた。

ボルダーで1日だけ身体が全然動かなく「今日は逃げたい」と思った日、
監督が取り合ってくれなくしょうがなく走ったら、なんとそれまでで一番いいタイムで走れた
頭では限界だと感じても、身体の方が動いてくれた
限界とは自分で勝手に設けてしまうものなのだ

 

 

そしてシドニー五輪、陸上競技女性での初の金メダル

シドニー五輪前に小出監督が書いた『君ならできる』(幻冬舎)のあとがきから
三行分だけ切り抜いてお守りに忍ばせた文章、
『いよいよ運命のレースのスタートまで、あと一週間。高橋は本当によく辛い練習に耐え、
強くなってくれた。私たちはやるだけの事はなしたと思う。あとはまさに天命を待つ心境
である』

レース前高橋と小出監督の2人は「やるべきことはすべてやってきたんだ」という充実感と手応えがあったとのちに語られています
勝つべくして勝ったレースなのかもしれません

シドニー五輪での金メダルは高橋と小出監督の勝利に対する飽くなき追求であろう。
また高橋を支える様々の方の努力。

金メダルを獲った翌朝、朝6時に目が覚めどうしても走りたい気分になった。
見える世界が変わってくるのかなと思ったが、前日の朝の感じとまったく変わらなくて
「ああ、私は別にオリンピックのために走ってたわけじゃなくて、この気持ち良さを
求めて走ってたんだ」とあらためて気づいた。
ただ陸上好きな1人の人間に戻って、走ることを楽しんでいこう。

 

(参照:山内 武「努力の天才 高橋尚子の基礎トレーニング」出版芸術社)
(参照:増島みどり「高橋尚子 夢に乗って走る」講談社 火の鳥人物文庫)
(参照:黒井克之「高橋尚子 夢はきっとかなう」株式会社学習研究社)
(参照:高橋尚子「風になった日」幻冬舎)

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