三浦雄一郎 エベレスト最高地点のスキー滑降を成し遂げた男のトレーニンング

天才学

’64イタリア・キロメーターランセに日本人として初めて参加、世界記録樹立
’66富士山直滑降
’70エベレスト・8000m世界最高地点スキー滑降を成し遂げ、その記録映画はアカデミー賞を受賞
’03世界最高年齢でエベレスト登頂、日本人親子同時登頂のギネス記録樹立

 

冒険の定義

「芸術は創造です。
これはけっして既成の型を写したり、同じことをくり返してはならないものです」

岡本太郎、へそ曲がりで、反骨心の塊で比類なき知性とユーモアを兼ね備えた芸術家

「モーレツに素人たれ」時代にこびず、権力におもねらず、常に常識を疑う姿勢

いうなれば冒険は創造です
心の師から教わった冒険の定義

ナンバーワンではなくオンリーワン

スキー競技を例にとれば実力はアマチュアの方が上

プロに求められているものは技術だけではなく、大切なのはいかに人を感動させられるか

プロはそれを対価で得ているわけだから、観客を意識しなければならない

アマチュアが演奏家だとしたら、プロはシンガーソングライター

作詞も作曲もすべて自分で行い、全体の指揮もとる構成力を求められる

ナンバーワンではなくオンリーワン
プロの目指す頂点はそこなのです

 

 

毎日3食何を食べるかで人生が決まる

例えばエベレスト遠征の時に、気温はマイナス30度以下、寝袋がそのまま棺桶になるという世界で寒さに震えていた

こんな時は脂っこいものを食べないとどうしようもないのですが、ベトベトなベーコンやバター、脂肪のついた肉を食べてもまだ体が温まらない

寝る前にショウガと黒砂糖を紅茶に入れて飲むと効果てきめん、数十分後には体がポカポカしてきて、寝袋の中が温泉に入っているかのように、手の先から足の先まで温まりました

つまり、それほど食事が体に及ぼす影響は大きいのです

アスリートに限らず、丈夫な筋肉、骨を身につけるのは体つくりの基本です

この世に蔓延する病気の3分の1くらいは体温が上がるとほとんど消えてなくなると聞いたこともあります

極端なことを言えば毎日三食何を食べるかで、人生が決まってしまうのです

 

「やったからできた」「やらなければわからない」

石橋をたたいて渡るように慎重にプランニングをして必要なことを論理立てて行う

しかしプランはプラン、完璧な準備など望むことはできない

特に気まぐれな山と向き合うとそれを実感する

そこでは考え方の柔軟性や変換が鍵を握り、その柔軟性を支えるのが目標から決して目をそらさないことである

プラス思考というのはそのあたりから鍛えられたもの

「やったからできた」
「やらなければわからない」

人一倍臆病で、だからこそ準備には万全を期します

やるだけやって、最後の最後だけ、運を天に任せる

やはりある程度努力したからこそ生まれるチャンスがあり、それが生死を分ける際の『幸運』につながるのではないでしょうか

 

 

「わあ、できた!」ってただそれだけです

誰も自分のことを知らない無名時代、八甲田や立山で日が落ちるまで滑っていたあのころ

雪山の斜面には僕の足跡、シュプールしかないくらい滑り込んでいました

誰に請われるでもなく、アピールするでもなく、転んだら死ぬかもしれないという急峻な斜面を、ただ好きだからという理由で果敢に滑っていた

当時、心が欲していたのは、無心になって滑ったという充足感

「わあ、できた!」ってただそれだけです

誰に言われるでもなく、自分の気持ちに正直に、無心になって取り組む

その上で誰かを感動させたり、あっと驚かせる冒険ができれば、これほど幸せなことはないでしょう

 

[参考文献]
三浦雄一郎+豪太「生きがい。」山と渓谷社

 

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