辰吉丈一郎 不屈の世界チャンピョンは世界一ボクシングに一途

天才学

平成以降、日本ボクシング界で一番の人気者は、浪速のジョーこと辰吉丈一郎でしょう
国内最短新記録で当時、世界王座を獲得しましたが、網膜裂孔・網膜剥離と目の病に前途を阻まれるも、
常にあきらめない不死身のボクシング哲学が、人々を魅了しました
世界戦3連敗してからの、王座返り咲きを果たす不屈の闘志は
多くの辰吉ファンを作り、また熱狂させました

 

僕には目標がある 明日は自分でつくるものですから

誰も見ていないトレーニングだって誰だってできるんです

ただ目標がなかったら人間、できないですよ

僕には世界チャンピョンという目標があるでしょ

目標のない試練には耐えられないですよ、みんな

それに僕には目標があるから、人が見ようが見まいが関係ないんです

そりゃ人に褒められて、人に見てもらって、歓迎・祝福されて、
それでやるに越したことはないですよ

でもそんなもん、一時のもんですよ

人の明日かて神様でも分からんでしょう

自分でつくるものですからね

だって、寝とって、心筋梗塞でポクッて逝ってしまう場合もあるんです

 

攻めたらええんやと、攻めるのみやと…

でも子供ができて、守ってるつもりはないけど、
どっかで守ってる部分はあったんですよ

そういう中で試合で負けていって、失神して、覚えていない状態にさせられて、
その中で自分の親の死というものがあったやないですか

だから、守ろうとするからこんなことになるんや、みたいな……

攻めたらええんやと、攻めるのみやと思ったら吹っ切れたわけやないけど、
その、今まで守るというのが、その、守りじゃないけど、
こもっていたものが解き放たれて、すごくやりやすくなった

親父の死でいろんなこと教わった

 

 

どうにかせいちゅうねん

『成るように成る』ということは大半の人がそうなんですけどね
『成るように成れ』という人生は、何もならん

成るようにしようとせんことには

世の中のひとは大体、どうにかなるやろうと思うから、どうにもならんねん

どうにかしよと行動おこさん限り、どうにもならんよ

あの人は運がいいなー、みたいな
羨むなって、アホちゃうか

あの人はそこに行くまで
努力したんやちゅうねん

うちの父ちゃん言うとった
「羨む人生より、羨まれる人生送れ」って

どうにかせいちゅうねん

 

怖くて、臆病やから練習するんよ

怖いから練習するんよ
怖くなかったら、練習なんかせえへんよ
怖くて、臆病やから練習するんよ

心配やから、この状態で大丈夫なんやろかと不安で一杯やから、
それを殺すために、絶つために練習してるわけよ

危機感、恐怖がない人間に
上を目指すというのは無理でしょう

それがあるから人間成長するんでしょ

 

 

世界一ボクシングに一途

辰吉は世界チャンピョンになってから度重なる目の病、網膜裂孔・網膜剥離に侵され、
通常であればボクシングライセンス剥奪の危機におちいるところを、
類まれな向上心と周りを同調させる力で乗り越え、克服して行きました

また自らも一心同体だと言わしめ、辰吉の哲学を叩きこまれた父親との死別、
ごく身近なものたちとの別れが同時期に訪れながらも、
ボクシングに賭ける情熱の集中度は、途切れることはありませんでした

そして今尚、辰吉のボクシングに対する純真・無垢な心は、失われないことにとどまらず、
朝の毎日のロードワークに始まるトレーニングは、続けられているのでした

 

 

 

[参考文献]
岸本加世子「一途」集英社

 

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